地獄の回想録

2006年からやっているブログの記事を機械的に貼り付けました。

2006/01/29 23:28

『擬似親子』

 

 

「ああ・・・・遂に念願だった息子ロボットを作ってしまった・・・・
 結婚できずに早云十年、もうお父さんと呼んでもらおうだなんて
 無理だと思っていたが・・・・遂に」

「話が長いんだけど、親父」

「あ、ああ何だ。もうスイッチ入ってたの」

「んだよその言い方あ。それよりよぉ、金」

「あわわわ、何だか回路を間違えたようだ。直さないと」

 


「ふう。何だかスイッチを切ろうと思って半日ばかし格闘して
 髪も一寸抜かれちゃったし多少血は流したけどこれでやっと・・・・」

「おはようございます。お父さん」

「おお、おはよう。良かったー」

「まあさ、親の心子知らずとは良く言ったもので」

「それがどうしたんだよ」

「お父さんがカレー食べたいのなら、僕は揚げ餅をそっと、ね」

「あ、揚げ餅をどうするんだよ。気になるじゃないか」

「親孝行ですよ。それともアレですか?安倍川餅のが良いと?」

「いや、それ孝行してるの?」

「じゃあなにをすればいいのでしょう。そうだ、キャッチボールは」

「キャッチボール?何でまた」

「あ、駄目だ僕ロボットだし関節外れる」

「ああ、そうだね」

「ボール投げながら好きな子の話でもしようと思ったんだけどなあ」

「それは修学旅行だったね」

「じゃあどうしましょう。川の字になって寝ましょうか」

「一人足りないけど」

「んだよ独身」

「わ、急にガラが悪くなった」

「殴りかかってみようか。ドメスティックにバイオレンス」

「止めてよ。ワケもなくさ、怖いじゃん」

「ワケない訳無いじゃん」

「読んでみるとややこしいね」

「殴りたいから殴るんですよ」

「怖いって。理不尽すぎだよ」

「あれだよ。間違えたんじゃない?コントのボケ用のICチップと」

「あ、そうかなあ。親子コントはやりやすいと思って作ったのがあってさ」

「阿呆だなあ。だから僕も違和感あったんだよ」

「ごめんごめん。じゃあ変えるから横になって」

「いや、別に息子でも良いや」

「ええ?毎日コントじゃ身がもたないよ、もう」