地獄の回想録

2006年からやっているブログの記事を機械的に貼り付けました。

2011年

2011/12/22 15:13

『ゆふづつ』 偏屈な奴と言う時の表情に近い。悪い夢の中で会ったような顔で、目ばかり細めて大口を開けて俺を見る。 俺の疲れているのを知られたくなくて、血の足りないというか、息切れする家系のにんげんなので、早く死んでくれればいいと思う。 ひゆうひ…

2011/11/07 18:45

『無題』 紙袋の中の彼女は俺の知る彼女よりも重く感じて、こうしたことで彼女の何が増えたのだろうと考えて歩いていた。その内に紙袋は重みに耐え切れなくなって、彼女は地に転がった。仕方なく俺は彼女を抱き抱えて、そうか片手で持っていたから重かったの…

2011/10/13 11:00

『今際の際』 病院は苦手だった。あの眩しすぎる光の中で死ぬのだけは嫌だと、多分分娩室の中から、思っていた。 目の前で閃いたそれの光に目が眩んで、俺は一瞬の判断を誤った。結果、俺の肉体は再生能力を失い、朽ちていくことになる。しかし精神は朽ちる…

2011/02/04 10:17

『一生』 「お寒うございますね」 男は俺の直ぐ左側に居た。左側に立たれるというのは何となくいい心地がしなかったが、俺はちゃんとその見知らぬ男の呟きに答えてやる。「そうですね」 ちらりと横目で見ても、やはり俺はその男に見覚えがなかった。黒の色褪…