地獄の回想録

2006年からやっているブログの記事を機械的に貼り付けました。

2006/09/13 22:50

『僕だけの自転軸』

 

さっき知ったのだが、世界は僕を中心に自転しているらしい。
僕が歩くたびに自転軸がずれるのだから、迷惑な話だ。
僕が地球の裏に行ったら、地球は逆回転してしまうのだろう。
地球は、僕が支配しているようなものだ。


地球の裏側―僕の真下は、どうやら何とか島とかいう島らしい。
僕は、テレビの企画でその島まで連れて行ってもらえることになった。
でも、良く考えてみろ。僕がここにいる間は確かに反対側はその何とか島なのだが、
僕が動く度に軸はずれるのだ。
飛行機の中でワケがわからなくなる。
僕は、僕一人の為に混乱を起こしたくは無い。

テレビの企画を蹴っても、「世界の中心は君だ」とか「愛を叫んで下さい」とか
おかしな事を近所の人に良く言われた。


世界は僕を中心に回っている。
僕は、自分の部屋で地球の裏側に想いを馳せる。

どうやら、暑い所らしい。今は夜だろう。
涼しい夜風に髪を揺らしながら、月を見る少女。何て美しいのだ。

僕は想像する。
僕の真下にも、世界の中心が出来る。
気まぐれで軸になった少女は、そんな事にも気付かぬままそこに座り込んでいる。

僕は、もう少し彼女と軸を共有していたい。
そう思って、眠りこけた。


地球はまた少しの間、平常に回るのだ。