2007/12/12 18:42
『サッカー部員連続殺人事件』
上野
「何でもここのサッカー部の顧問は、部員殺しと言われてるらしい」
下山
「それくらい練習がきついんだろう」
上野
「でも俺ずっとサッカーやりたかったから、サッカー部入るよ」
下山
「小学校の頃ユニフォームで登校してたくらいだしね」
上野
「清水エスパルスのな」
下山
「いつも地元じゃなかった」
上野
「ロナウジーニョやベッカムの髪型を積極的に真似たりもしたな」
下山
「どっかのチームに入ればいいのに、ってよく思ってた」
上野
「しかしその念願も中学生になった今漸く叶う」
下山
「放課後練習見に行こう」
上野
「さて放課後になったな」
下山
「そうだね」
上野
「グラウンドは何処だろう」
下山
「目の前だろ」
上野
「おや、ここの広場は草のひとつも生えちゃいない」
下山
「しっかり掃除されてるんだな」
上野
「そうか。放射能の影響で、か」
下山
「まあ芝生で練習するのと地面とじゃ全然違うっていうけど、中学じゃ文句言えないし」
上野
「悲しいもんだな。被爆の爪痕がそこらかしこに」
下山
「お、あれが顧問かな」
顧問
「こんにちは」
上野
「こんにちは。先生の頭も被爆されたのですね」
下山
「おい上野!」
顧問
「君たちは?」
上野
「俺は上野。ハンバーグと野球が何よりも好きな熱い男だぜ」
下山
「野球そんな好きじゃねえだろ。熱くもないし」
顧問
「見学に来た1年生?」
下山
「そうです」
顧問
「じゃあその辺りで見ていてくれ」
上野
「ラジャ」
下山
「部員殺しというような感じじゃないね。あ、先輩だ」
先輩
「中田先生、ランニング終わりました」
顧問
「あ‥‥そう、終わったの」
先輩
「次は何をすれば?」
顧問
「‥‥まえ」
先輩
「え?」
顧問
「辞めちまえてめえら!」
先輩
「はあ」
顧問
「こんな顧問で不服だろ?辞めろよ!辞めたいだろうがよ!」
先輩
「辞めませんよ」
顧問
「この野郎‥‥揃いも揃ってボールは友達だの見え見えの嘘つきやがって!」
先輩
「やめて下さいよ先生。そんなこと言うから、この前左近と右隅が辞めちゃったんじゃないですか」
顧問
「ああそうさ。あいつらを辞めさせたのは俺さ。あいつらの選手生命を潰した殺人鬼は、この俺さ!」
先輩
「先生!何処に行くんですか!」
上野
「‥‥逝った、な」
下山
「やめろよ嫌なこと言うの」
上野
「悲しい事件だった。サッカー部員連続殺人事件」
下山
「結局真相はくだらなかったけどね」
先輩
「あ、君たち見学に来たのか?じゃあ是非うちに‥‥待ってくれよ!おーい、おーい!‥‥」