2008/01/17 20:33
『サバイバルゲーム』
銃声、悲鳴。
「・・・・誰か殺られたか」
呟くと共に、銃を握って振り向く。
俺の背後を取った悦びと、俺が銃口を向けた驚愕を一緒にしたおかしな表情の男。
俺は無言で引き金を引く。
―あとひとり。
頭の片隅の方に響くカウント。
それは俺を自然と笑顔にした。
「一騎打ちか」
勝った方に、賞金が出る。
「果報は寝て待とう」
焦って動いて奴(そういえば顔も知らぬ)の縄張りに入れば、先程の男のように死ぬ。
ゆっくりと、奴が痺れを切らして動き出すくらいの時間をかけて狙わなければ。
そして、40年が経った。
―どうやら向こうも同じ考えだったらしい。
年老いた体に風雨吹きさらしの島暮らしは辛く、俺は衰弱死した。
奴の方が賞金を貰えたのかと思えば―それは違った。
外の世界では大規模な世界大戦が起こり、核爆弾や放射能の被害によって
世界中の人間が倒れ死んだ。
賞金を懸けた人間も、死んでいたのである。
勿論俺も奴も、それを知ることなく生活していたのだった。
無人島で生き残ったことが幸せだったのか―それは、当の俺にもわからない。